図解 スマートグリッド(次世代送電網)
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備忘録
総括原価方式
現在の送発電一体システム(東電など電力会社が中心)
1)電力の質を確保する。 消費電力と供給電力を均衡させる。
コストを無視して良いばあいを除いて(蓄電池の利用など)、普通は電気を貯蔵することはできません。電気を送配電する上でもっとも重要なことは消費電力と供給電力を絶えず監視してその両者を均衡させることです。
この均衡が揺らぐと周波数が不安定になったり、電圧の異常低下を招きます。瞬間的な変動はコンデンサなどの調整で対応きますが、送電網自体の不安定化を防ぐためにやむを得ずに一部の送電網を遮断したり、いくつかの発電機を停止しなければなりません。これは停電の主な原因となります。
現在、各家庭で見られる電力メーターは月に一回、巡回で点検され、消費量が確認されます。もちろんこの月ごとの消費データで日々の電力供給を決めることはできません。単に請求書発行事務に利用されるだけです。
日々刻々の電力供給量はその都度、変動する周波数や電圧を見ながら、天候や過去のデータ、経験を参考に中央制御式にコントロールされています。
2)電力の量を確保する。つまりピーク時の需要を押さえ、供給を増やすこと。
「電力不足」問題というといかにも恒常的な不足をイメージします(させます)が、一日の消費電力の変化でもわかる通り、「昼間のピーク時の電力不足」問題なのです。
a) ピーク時の需要を押さえる。
この目的のために、現在次のような制度があります。
●「需給調整契約」:電力会社は大口需要家に使用制限を「通告」できるかわりに割引料金が適用できる。
●「電力使用制限令」:国が電気事業法に基づいて発令できる。
こうした対策が効果的に活用されたかの検証とともに、一般消費者への節電に対するインセティブ(目標を達成するための刺激)を用意すること、そのための技術的基盤を準備することも大切です。
実際、この夏は猛暑で高齢者の健康不安が心配されるにもかかわらず、国民の高い節電意識は、ピーク時の需要を抑えるなど、大きな貢献を果たしました。
b) 電力の供給先を増やす。
発電事業はもはや電力会社だけの責任で供給する時代ではありません。現在、電力会社はPPS事業者からその電気料金の15から20%の託送料を徴収しています。この障壁を解決すれば現状でも、PPSに加えて企業や工場の余剰電力(いわゆる埋蔵電力)を社会全体で活用でき、さら健全なな競争原理で電気料金を低減することも可能となります。
 ところで電力不足にからめて、今回の事故の原因解明や収束さえも不明な原発を早急に再開する動きがあります。このことは、すでに「浜岡原発停止」に70%を越える支持(NNN調査)を表明したような国民の声に逆らい、正常な「電力供給」の論議を複雑にさせることになります。      
 電力は、無用なリスクを負わなくとも、いまや多様かつ安全、経済的な方法で供給できることを国民誰もが知っているので、なおさらのことです。
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「埋蔵電力」の規模は原発36基分(引用)
夏場のほんの短時間のピークをしのぐためだけに、巨大で使い勝手の悪い設備を持つ必要はないのです。(ー中略ー)瞬間的な需要の増大に対しては、電力を市場で調達して乗り切る仕組みをつくっておけばよいのです。
そこで使えるものとして、企業などが持つ自家発電設備の余剰分、いわゆる「埋蔵電力」があります。今、自家用発電能力は日本全体で6000万kWほどあり、その稼働率は46%ほど。つまり埋蔵電力は3240万kWにも達し、これは原発36基分に当たります。これを有効に活用すれば、原発すべて止めても必要な電力を賄うことはできるのです。
...「原発がなくても電力は足りる!」(宝島社2011/9/3発行)より引用
スマートグリッドと送・発電分離
3)家庭の電力メーターがスマートメーターに替わると
ところで、現在の電力メーターに替わってスマートメーターが導入されると、双方向のデータ通信が可能となり一般家庭も含めて、リアルタイムでピーク時の節電協力が可能となります。
さらに、送発分離が実現できると現在すでに通信業界で実施されている、例えば「ホワイトプラン」のように、消費者の節電貢献度に応じた各種割引制度を導入することもできます。
4)いま話題の送・発分離とは もしも宅急便が「送・発分離」でなかったら
宅急便「クロイヌ武藏」が全国の高速道路を保有しているとします。だからクロイヌなら全国どこでも翌日配達は当たり前。ところで他の運送会社が高速を利用したいときには送料単価の20%の託送料が徴収される仕組み。だから宅急便の価格決定権は「クロイヌ武藏」が持っているので本1冊でも2,000円が相場に。他の宅急便のみならず、これでは通信販売、新しい産業や経済が発展しないため、運送会社と高速道路は分離して公平に競争しようという、真っ当な話に「クロイヌ武藏」は必死に抵抗しています。
 このたとえ話、宅急便を例えにするのはとても恐縮します。この業界はそもそも国のさまざまな規制を打ち破って発展した「健全マーケット」のモデルなのですから。電気供給という公共性の高い業種ならなおさら、今のようなシステムを健全化することは社会的な責任です。
また効率的なスマートグリッドを実現する際の最大の障害といわれています。
5)通信自由化が示す教訓(引用)
90年代後半に電気通信事業法が改正され、アクセス網(家庭までの加入者線)の開放が義務付けられ、ソフトバンクがNTTのアクセス網を使って低価格で高速のデジタル加入者線(DSL)に参入した。これで日本は一挙に世界最大のインターネット大国となり、「日本の奇跡」とも呼ばれた。つまり電力インフラだけ切り離しても自由化は進まない。通信自由化に電電公社の民営化が必要だったように、東電を解体して電力会社の支配力を弱めることが必要だ。
さらに電力業界に参入する挑戦者も必要だ。地方自治体と組んだ大規模太陽光発電(メガソーラー)事業で電力業界への参入を表明したソフトバンクはその有力候補だが、太陽光発電所の電力単価は火力や原子力の7〜10倍で、補助金なしでは成り立たない。政府の補助金をもらいながら電力会社の支配構造を変えることはできない。
しかし孫正義社長が電力業界の状況を理解すれば、天然ガスなど効率の高いエネルギーで電力会社の秩序に挑戦し、「日本の奇跡」を起こすことも夢ではないだろう。

上記はNEWSWEEK日本語版2011・8・5発行の別冊、池田信夫氏(経済学者)の論文より引用・抜粋
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